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「ベニスに死す」と「クリスマスのその夜に」@名演小劇場

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2か月と少し前、10月24日に北杜夫さんが亡くなった。
「ベニスに死す」の原作者トーマス・マンを、そのエッセイで紹介し、旧制松本高校時代の同級生辻邦夫さんと熱く語りしてきたのが北杜夫さんだった。
齋藤脳病院の一族(茂吉や兄茂太さんも登場人物のひとり)を描き秀逸な『楡家の人々』は、マンの『ブッテンブローグ家の人々』からかなりの影響を受けて書かれたものであることをご本人も認めている。
トーマス・マンや、ドビュッシー(『牧神の午後』という作品があります。)は北杜夫さんたちがそれにふれた頃には一般庶民の認知度はとても低かった筈。
中学から高校にかけて、夢中で読んだ北杜夫さんが亡くなったことの意味を自らにといかけつつ過ごした2か月。

偶然にも、マン原作、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「ベニスの死す」(1971年イタリア・フランス合作が再公開されることになった。
若い頃観た印象は、とりあえず、措いておいて虚心に観てみようとでかけた。

小説では小説家、映画では音楽家である初老の男アッシェンバッハ(ダーク・ボガード)が、休養に訪れたベニスでギリシア彫刻を思わせる風貌のポーランド人の美少年タジオ(ビョルン・アンデルセン)と出会う。男は生涯、音楽で美を追究してきた。にもかかわらず、そうして創りだしてきた作品は、目の前に現れた少年の完膚無きまでの美しさを凌駕することができない、と思い煩う。少年の持つ美に魅了され、恋い焦がれ、コレラの蔓延するベニスからの脱出を一時は試みるのだが、荷物の運搬で手違いがあったと知って、喜んで舞い戻ってくる。迫り来る老いを自覚した男が床屋に「若返るから」と施された白髪染めが、コレラで行き倒れ、熱にうなされる男の白く化粧し口紅をひいた顔に、黒く一筋流れ落ちてくる。少年の一家にコレラの危険性を伝えようと声を発したその直後に男は亡くなる。

公開時には実感としてとらえることができなかった老い、末期の近いことを実感した時に見える景色。若さや、若さゆえの美しさを結晶させたようなタジオの存在の吸引力の強さを納得できる。ストーリーの表層だけを追えば、年老いて自力では美を具現化しようもなくなったアッシェンバッハによる、自らに足りないものへの憧れがエスカレートしてストーカー的行為に走らせた、などとくくってしまえるかもしれないけれど…。

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「クリスマスのその夜に」
2010年スェーデンの作品、ベント・ハーメル監督の作品を観るのは、2003年の「キッチン・ストーリー」、2007年の「ホルテンさんのはじめての冒険」に続いて3作目。前2作もそれぞれに味わいは違いながらもよい作品だったので期待大で観に行きました。期待して行った甲斐がありました。



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16 : 04 : 43 | 映画 | トラックバック(0) | コメント(8) | page top↑
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コメント
「ベニスに死す」の写真に思わず
初めまして

日頃ののんびりがたたって忙しい年末に(-_-;)
ちょっと休憩を~と訪ねたところ
懐かしい、そしてもう一度観たかった映画の写真が載っていたので
つい一言をと

私はダークボガードの渋さが好きでした
で、詳しい内容は余り覚えていないのですが
とうとう私もこの時苦しんでいた彼の年齢に近く(越えた?)
なったたんだな~とつくづく・・・・
by: wataboushi * 2011/12/29 16:53 * URL [ 編集] | page top↑

こんばんは♪
映画は好きでしてよく観ます。名演小劇場はいい映画をみせてくれますね。
近ごろは映画よりも写真を撮りにいくことが多くなり、映画からチョット遠離りの傾向です。
名古屋へは時折行きます。♪
by: ひつじ草 * 2011/12/29 18:53 * URL [ 編集] | page top↑
こんばんは
「ベニスに死す」は私でも題名を知っている有名作品ですね。お恥ずかしながらあらずじは知りませんでしたが、「月と太陽に背いて」に似た感じでしょうか...?こちらも、老いた詩人ヴェルレーヌと若く才能溢れるランボーとの破滅的な恋の物語でした。
何の予備知識も無しにフラッと観に行って大変衝撃を受けてしまいました(笑)

「楡家の人々」は母も夢中で読んだそうです。
私も夢中で読んでいます。
なんだか嬉しいです。うまく言えませんが...!
by: にょろたこ * 2011/12/30 00:39 * URL [ 編集] | page top↑
おはようございます。
m.さん

今年はお世話になり、ありがとうございました。m.さんにはたくさん応援して頂いて本当に感謝しております。

風邪など召さないよう十分気を付けて、良いお年を迎えてくださいね。
by: しげちゃん * 2011/12/30 10:47 * URL [ 編集] | page top↑
wataboushiさん、ようこそいらっしゃいました。
先日は、初めてお訪ねしたのに、親近感を感じてしまい、長話失礼いたしました。

時の移ろいを、昔観た映画からとか、昔訪ねた場所からとか、何かにつけて感じる今日この頃です。
3年前に、ん十年ぶりで、小石川植物園にいったら、樹木の茂りようが記憶にある同じ場所と余りに違い、鬱蒼をしていたのに驚いたり…。

でも、核にある、その当時の自分も、同時にふっと甦ってくるのが楽しいですね。

年末も押し迫ってからでしたが、お知り合いになれて嬉しかったです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
by: m. * 2011/12/30 15:45 * URL [ 編集] | page top↑
ひつじ草さん、こんにちは!
いつも素敵な写真をありがとうございます。
名演小劇場にいらっしゃったこともあったんですね!何年か前に文字通りの小劇場から映画館に変わってから私もよく行きます。
それまでは、シネマテーク、ゴールド、シルバーあたりで観ることが多かったですけれど。

今年は最後の4か月くらいの間に、たくさんの方々とブログを通じてのお知り合いになれて、とても嬉しかったのですが、最後の最後に、ひつじ草さん、
wataboushiさんにご訪問いただいて、何だか、ほっこりした気分で新年が迎えられそうです。ありがとうございました。

2012年もどうぞよろしくお願いいたします。
by: m. * 2011/12/30 15:56 * URL [ 編集] | page top↑
にょろたこさん、今日は!
「太陽と月に背いて」は、描かれる関係性がよりリアルで剥きだしな感じでしたね。
「ベニスに死す」はあくまでも、老作家が遠くから恋い焦がれて見つめているのみ、少年はその視線に気がついているけれども、ふたりがふれあうことはないのです。

お母様とわたし、同世代?
大好きな『楡家の人々』繋がり、嬉しいです。
にょろたこさんにとって、大切な1冊になりますように。

さて、今年ももうおしまいですね。
昨年は、児童書のお話ができて楽しかったです。
来年もまたちょくちょく遊びに寄らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
よいお年をお迎え下さい。
by: m. * 2011/12/30 16:17 * URL [ 編集] | page top↑
しげちゃん 、こんにちは。
こちらこそ、すっかりお世話になりっぱなしです。本当にありがとうございました。
しげちゃん推薦の映画の中で未見のものを借りてDVDで観ています。
つい最近は、「ビッグ」と「ミルコのひかり」もう、どちらも凄くよくてしげちゃんに感謝、感謝の毎日です。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

東北、寒さが厳しいかと思います。
どうかご自愛なさって、よいお年をお迎え下さい。
by: m. * 2011/12/30 16:25 * URL [ 編集] | page top↑

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